声明

「女性スペースを守る会」による劉靈均・村田しゅんいち両氏に対するSLAPP訴訟の地裁判決を受けて

2024年8月30日、TransgenderJapan事務局長の村田しゅんいちに対して「女性スペースを守る会」(以下、女スペ会)が起こした名誉毀損SLAPP訴訟の横浜地裁判決が言い渡され、被告である村田の全面勝訴となりました。7月12日には劉靈均氏が女スペ会に対して起こした債務不存在訴訟への反訴として女スペ会から劉靈均氏に対して起こされた名誉毀損SLAPP訴訟についても全面勝訴判決を勝ち取っていました。

 村田裁判、劉裁判のいずれにおいても判決は女スペ会を“差別団体”と表現することは意見ないし論評の域である旨を明言しています。村田裁判判決においては「重要な事情」として、「性自認の尊重」や「トランスジェンダー女性による女性トイレ等の女性スペースの利用」などの問題については「政治的、社会的にも見解が分かれ、議論があるところ」だとの指摘がなされています。この指摘により、対抗言説に対して金銭要求やSLAPP訴訟で応答する女スペ会の手法がいかに言論抑圧的であるかが浮き彫りとなり、同時に、「女性・子どもにとっての脅威」「性犯罪者予備軍」という勝手な像を流布されているトランスジェンダーが各々の存在を主張し、差別言説に対抗することの正当性が司法によって認められました。

 本日は関東大震災とそれに伴う朝鮮人・中国人など大虐殺から101年目を迎える日です。あのとき、朝鮮人や中国人に対する恒常的な差別感情に加え、「日本人の安全を朝鮮人らが脅かしている」旨の言説がもっともらしく流布されることで、大虐殺が引き起こされました。差別は人間を殺しうるものです。だからこそ、“差別を差別だと意見・論評する権利”が司法によって確認された意義は大きく、この司法判断を日本のトランスジェンダー、LGBTQ+の権利回復に向けた運動に最大限活かしていく必要があります。

 最後に。両裁判はいずれも女スペ会が控訴し、東京高裁へと舞台が移る予定です。TransgenderJapanは引き続き、村田、劉両氏に連帯し、裁判支援を継続します。

2024年9月1日
一般社団法人TransgenderJapan

以下、両裁判の判決文を添付します。

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