声明

仲岡しゅんさんへの殺害予告に抗議する緊急声明

 トランスジェンダー女性であることを公表している弁護士の仲岡しゅんさん(大阪弁護士会所属)に対して「オカマ野郎の仲岡をメッタ刺しにして殺す」という内容の殺害予告が届いたことが仲岡さん本人のTwitter投稿で公表されました。その後の報道で「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎をメッタ刺しにして殺害する」「Tor(匿名情報通信に用いるブラウザ)通してるから通報しても無駄、やりたければご自由に」「チャンスあったらその時メッタ刺しにするわ、楽しみにしとけなキモカマ野郎。男だから怖くないかもしれないけどな(笑)」といった猟奇的・差別的な内容を含むことや殺害予告が複数届いていることなどが明らかとなっています。

 これは紛れもなくトランスジェンダーという属性を理由とする殺害予告であり、ジェノサイド(集団殺害)へ地続きとなる許されない行為です。TransgenderJapanはこの事態をトランスジェンダーの人権と生存を脅かす危機であると認識し、仲岡さんに対して殺害予告を送信した者及びそれを擁護する者たちに対して最大限の抗議をいたします。

 日本においては、2018年にお茶の水女子大学がトランス女性の受け入れを表明して以降、トランスジェンダー、特にトランス女性に対する憎悪扇動や差別言説(以下、まとめてトランス差別とする)がSNSを中心に振り撒かれ始めました。その内容の多くは、欧米諸国で宗教保守らが発信している言説の輸入でした。2021年5月末から6月にかけてにLGBT理解増進法案が国会に提出されるか否かが争点となった時期を皮切りに、トランス差別を主導する運動団体が相次いで結成・始動され、トランス差別言説が増幅されていきました。そして2023年2月以降の所謂LGBT法案をめぐる国会の議論において保守の立場からの法案への抑制・反対の理由としてそれらの言説が用いられ、またヘイトクライムが発生し、いよいよトランス差別が現実世界においても噴出している現状があります。このような経過の果てに、この度の仲岡さんに対する殺害予告があります。

 トランス差別言説を通じて、トランスジェンダーの生活実態と離れたところで「議論」の体裁でヘイトスピーチやデマ・誤情報が流されています。これらに影響を受け、誤ったトランス女性像を描いている人も少なくありません。トランスジェンダーも人間であり、そうでない人達とともにすでにこの社会で生活をしています。トランスジェンダーの人権を訴えることは、特別な権利の要求をしているわけではなく、法の下の平等を求めているに過ぎません。TransgenderJapanはこの度の仲岡さんへの殺害予告を受け、改めてヘイトクライムに対する怒りを表明するとともに、殺害予告犯が適切な司法手続きに則った刑事処分を受けること、及び、このような事態が繰り返されない社会の構築を求めます。

2023年6月4日
TransgenderJapan
共同代表 浅沼智也 畑野とまと

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