声明

外務省によるOHCHR任意拠出金使途からのCEDAW除外表明に抗議します

 2025年1月29日、外務省は日本から国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)への任意拠出金の使途から国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)を除外することを決定し、これを国連側に伝えました。これは昨年CEDAWが実施した日本審査に基づく勧告の第11項目への抗議の意を込めた措置です。勧告第11項目は以下の通りです。

委員会(CEDAW)は、日本の皇室典範の規定が委員会の権限の範囲外であるという締約国(日本)の立場にも留意する。しかしながら、委員会は、皇統に属する男系の男子のみに皇位継承を認めることは、本条約第1条および第2条と相容れず、条約の目的と趣旨に反すると考える。 【日本女性差別撤廃条約NGOネットワークによる和訳】 

報道によれば、外務省の北村俊博外務報道官は記者会見で、「拠出金の一部が同委員会に使われないことを確保し、日本政府の立場をより明確に示すことになる」と述べ、また、今年度に予定していたCEDAW委員の訪日プログラムも実施を見送るとしています。この度の措置以前に、2005年以降、日本の任意拠出金の使途からCEDAWが外され続けているという問題もあります。

 これらに対し、TransgenderJapanは“ジェンダー平等をめざす究極的な社会的公正の構築”を理想〈Vision〉に掲げる立場から、外務省に対して以下の4点を求めます。

①反人権的かつ国連敵対的なこの度の措置をだたちに撤回すること

②日本のOHCHR任意拠出金の使途にCEDAWを含むこと

③CEDAW委員による訪日プログラムを受け入れ、対話を重ねてジェンダー平等を漸進させること

④外務省はこの度の措置に至る経過を、最終的な決裁者の立場を含めて明らかにすること

 この度の措置をめぐって問われているのは天皇制の是非ではなく外務省の外交姿勢です。国連人権機関(人権理事会、各種人権条約に基づいて設置される委員会)やそこから派遣される特別報告者は各国にとっては“批判もする友人”〈Critical Friend〉です。それらとの対話を重ねることで日本国内と国連人権機関の人権基準を相互に磨き上げ、国際的な人権保障の水準向上に寄与することが健全な国連外交であると考えます。今回のことは、これまで日本政府が国連人権理事会による幾度にもよる勧告を無視し反発してきたことの延長と捉えることができるでしょう。反発するのではなく、外務省には人権保障のためのリーダーシップをこそ発揮していただくよう、強く要請します。

2025年2月19日
一般社団法人 TransgenderJapan

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